高校2年生は12月9日~12日、中学3年生は12月10日~12日まで、企画型修学旅行に出かけます。
本校の高校生・中学生の修学旅行は生徒がすべてを企画します。高校生の年度によっては、150人を超える生徒が修学旅行委員に手を上げることもあります。実に学年の1/3に相当する人数です。彼らが各々チームを組み、生徒の要望を実現するために、行先やプログラムを考案。生徒全員に「行きたい場所」が見つかることを目標に、委員は旅行代理店とメールやZoomを使ってやりとりを続けます。
例年6、7つのコースが設定されますが、行先によって日数や費用は異なります。コース内のプログラムもすべて生徒が立案し、希望者を募るプレゼンテーションも生徒自身が行います。2024年度の高校2年生は、北海道コース、東北コース、関西コース、四国コース、九州コース、沖縄コースの6つのコースを編成しました。教師の役割は、修学旅行中の安全対策を徹底することだけです。
四国コースの一部を紹介します。このコースの参加者は男性11名、女性17名の計28名。羽田空港から高松空港へ。ここで「アートサイトコース」と「探索コース」に分かれ、前者は直島を中心にアートと食を堪能し、後者は屋島や高松城などの歴史探訪。初日は金刀比羅宮近くの琴平温泉の老舗旅館に宿泊。宿泊先も生徒が考えます。その後のルートは、愛媛県松山城→高知県中津渓谷・高知城→土佐御苑・大塚美術館など。徳島空港から帰路へ。生徒が考える見どころは、プロの旅行業者も知らない穴場もあり、生徒の探究に向けた奥の深さを感じます。
中学3年生は広島と関西のコースを設定し、広島の「原爆資料館見学コース」と「平和公園散策コース」の選択から始まり、関西も京都と大阪に多様なコースが計画されています。
昨年度九州を企画した生徒の声です。
「私は福岡出身。いつか、自分が生まれた九州の地で街おこしに関わりたい。そんな思いがあったからこそ、大切な友人たちに九州の地を知ってもらいたくて、鹿児島・長崎・福岡の3県を惜しみなく楽しむコースを企画しました。改めて地元の魅力を深掘りして組んだ行程。友人たちが心から楽しそうにしている姿は、一生忘れることができません」
横浜創英では、「行先が一つ」という、そもそもの前提をやめたのです。それは、生徒全員が希望先を選択できる環境を作るためです。多数決で行先を決めれば、少数派の思いは切り捨てられます。自分たちで作りあげて、自分たちで選ぶ旅行には、他責の念や不満は生まれません。修学旅行の内容を説明する保護者会でも、生徒が保護者に向けてプレゼンをする光景は教師顔負け。それを微笑ましく見守っている先生方の姿も素敵でした。
学校の外で必要な能力を学校の中で発揮する。このことがとても大切なのに、学校は学校の外の世界とつながろうとしません。人が目的に深く入り込むためには、経験から学ぶしかないと思うのです。何事も経験するまでは本物にはなりません。正解のあった時代と違って、正解のない時代だからこそ,経験を多く並べていく必要があると考えています。